保育実習理論♪問題の解きかた講座③移調の問題

問題の解きかた講座③保育士試験
この記事は約7分で読めます。

子どもの歌の譜面が示され、
「音を高く」「音を低く」するという
移調に関する問題は、
平成18年以来ずっと続いています。

これを解くには、
「何度下げる(上げる)か」
に対応するための「音程」の知識と、
「調と調号」の知識があれば楽勝です。

この「音程」「調と調号」に関する問題は、
パターンが何種類かああります。

①「~度」下げる(上げる)と音はどうなるか
②「~長調」にするとコードはどうなるか
③「~度」下げる(上げる)と何調(調名)になるか
④「~度」下げる(上げる)と調号はどうなるか

それぞれの解きかたを、
分けて解説していきます。

どのパターンが出ても困らないよう、
ポイントを押さえていきましょう!

その1)音程を上下させる移調の問題

「~度」下げる、または上げるようにと、
音程の度数で移調を指示する問題です。

以下は平成24年の問題です。
※「こいのぼり」は著作権が消滅しています。

度数を指定する移調問題
「こいのぼり」

大丈夫、
この曲が「こいのぼり」と分からなくても、
問題は解けます。

このパターンの問題は、
ABCの音を正しく読み、
指定された度数分移動させる

やることは、たったコレだけです。

ABCの音を正しく読む(ひっかからない!)

このパターンで「移調」の問題が出るとき、
もとの楽譜にかなりの確率で「♯や♭」がついています

つまりひっかけ問題なのです。

曲についている「調号」に気づかないと
ほぼひっかかります

では先ほどの「こいのぼり」の問題で
見てみましょう。

こいのぼり_変ホ長調

赤で囲んだ調号、つまり♭を見落とすと、
A→シ、B→ファ、C→ソ
と読んでしまいます。

しかし!!
この曲には♭が3つ付いているので、
「シ・ミ・ラ」に必ず♭が付くのでしたね。

♯や♭が何コで何調・・・を復習する

なので再度、気をつけて読むと、
A→シ♭、B→ファ、C→ソ
となります。

くれぐれも「調号」を見落とさないように!

指定された度数分 移動させる

音程については、しっかり覚えましたか~?

保育士試験で出る音程、
すなわち「度数」はたった6種類です。

おまじないのように覚えてしまいましょう。

度数鍵盤の数度数鍵盤の数
短2度2つ長2度3つ
短3度4つ長3度5つ
完全4度6つ
完全5度8つ
度数が大きくなるほど鍵盤数も増える!

音程をしっかり復習する

上記の表にある鍵盤の数だけ、
下げたり上げたりして、移動させます。

ここで気をつけること。
■下げるときは鍵盤の「左側へ」
/上げるときは鍵盤の「右側へ」
■数えるとき「もとの音」を①とカウントする
■白と黒の鍵盤すべてをジグザグにカウントする

鍵盤上の音の上げ下げ
下げるときは左へ/上げるときは右へ
鍵盤の上げ下げの数え方

平成24年の問題の答えは・・・

では先ほどの「こいのぼり」の問題を
解いてみましょう。

まず問われているA~Cの音を、
正確に読み、
鍵盤上で間違わずにチェックします。

調号に気をつけて・・・
A→シ♭、B→ファ、C→ソ でしたね。

問題の音を鍵盤上で間違えずに確認

そうすると、
A→⑯、B→⑪、C→⑬になりました。

これらの音を、
「短2度下」に移動させるということは、
「鍵盤2コ分」左に移動ということです。

鍵盤2コ分_左に移動する

すなわち答えは=2でした!

その2)コードの移調

「~長調」に移調した場合、
指定されたコードはどうなるか、
という問題です。

過去5回、出ました。

以下は平成30年後期の問題です。
※「どんぐりころころ」は著作権が消滅しています。

平成30年_後期の問題

このパターンの問題の解きかたには、
以下の3つのポイントが重要です。

✓もとの調は「何調か」判断する
✓何度下げる(上げる)のか音程を判断する
✓コードを「英語の音名と考えて」
音程分だけ移動する

そう、コードと聞くと「え!?」
と身構える人もいますが、
この問題は「コードの構造」はあまり関係ないです。

では詳しく見ていきましょう。

もとの調は「何調」か

第一段階として、
移調する前の「もとの調」は何調かを、
間違えずに判断します。

調と調号については覚えましたか~?
おまじないのように覚えてしまいましょうね。

音階と調を復習する

保育士試験に出るのは、
♯、♭3つまでの調です。
以下の調さえ覚えれば大丈夫でしょう。

調の名前調号♯・♭がつく音主音(音階の始まりの音)
ハ長調何もつかない
ト長調♯が1つファ
ニ長調♯が2つファ・ド
イ長調♯が3つファ・ド・ソ
ヘ長調♭が1つファ
変ロ長調♭が2つシ・ミシ♭
変ホ長調♭が3つシ・ミ・ラミ♭

トニイ、ヘロホ、ファドソ、シミラ・・・
などと唱えて覚えて下さいね!

では先ほどの問題の「どんぐりころころ」は、
何調でしょうか?

♯が2つついているので「ニ長調」ですね。

何度下げる(上げる)のか?移調先の調との音程

「ニ長調」のどんぐりころころを、
「ハ長調」にする問題です。

何度下げる(上げる)と「ハ長調」になるのか?

この2つの調の音程を調べるときは、
それぞれの調の主音どうしの音程に注目します。

調と調の音程を調べる

主音どうしを調べると、
鍵盤3コ分、下に移動することが分かりました。

ということは、コードについても
鍵盤3コ分(長2度)下に移動すれば良いのです!

コードを音程分 移動させる

移動させるコードは、
D、A、G、E7の4つです。

まず、このコードネームのアルファベットを、
英語の音名と捉えて、
分かりやすいドレミに置き換えます。

コードネームを音名に置き換える

もちろん、
英語音名のままでOKの人は、
そのままで良いですよ。

英語の音名を復習する

次に赤い文字の音を、
鍵盤3コ分下へ移動させます。

置き換えた音を移動させる

ここまで出来たら、
あとは移動した音を英語の音名に変えれば、
コードネームになります。

移動した音を英語音名に直す

すると答えは=1ですね。

コードネームの「根音」を、
音程分の鍵盤の数だけ移動する

というイメージです。

この時、
「~7」「dim」「aug」「m」などは、
移動先でも同じようにつきますので、
忘れないように・・・。

その3)移調した時の調名・調号を答える問題

平成30年前期までは、
問5でずっと、この問題が出ていました。

問4で「完全4度下に・・・」などの問題があり、
問5で「何調になりますか」と聞くパターンです。

ここ最近、5回にわたって
リズム問題が出されていて姿を消していますが、
また出るとも限りません。

この問題の解きかたは、
以下のとおりです。

✓もとの調は「何調か」判断する
✓その調の主音(音階の始まりの音)を、
指定されている音程で下げる(上げる)
✓移動した音が主音になる調名を答える

それでは前術の平成24年の問題、
「こいのぼり」を使ってみてみましょう。

平成24年_問5

問4では「短2度」下げると、
音はどうなるか、でした。

ここでは「短2度」下げると、
調はどうなるか、です。

もとの調は「何調」か

先ほどの「こいのぼり」はこちらです。

こいのぼり_調号に注目

♭3コがつくのは何調でしょうか?

調のまとめ、再掲しますね。

調の名前調号♯・♭がつく音主音(音階の始まりの音)
ハ長調何もつかない
ト長調♯が1つファ
ニ長調♯が2つファ・ド
イ長調♯が3つファ・ド・ソ
ヘ長調♭が1つファ
変ロ長調♭が2つシ・ミシ♭
変ホ長調♭が3つシ・ミ・ラミ♭
覚えちゃおう!!

はい、♭3コは「変ホ長調」で、
調の主音は「ミ♭」です。

この「ミ♭」を「短2度」下げれば良いのです。

調の主音を下げる(上げる)

「短2度」は「鍵盤数2コ」です。

ミ♭を左側へ「鍵盤2コ」移動させましょう。

主音を音程分 移動する

移調先の調の主音は「レ」
ということが分かりました。

レを日本語音名に直すと・・・
「ニ」ですね。

ということで答えは「ニ長調」
4が正解です。

移調した調の「調号」は

このパターンの問題も、
問5で何回かでました。

移調した時の調号は?

手順はほぼ先ほどの、
移調した調の「調名」を答えるのと同じです。

✓もとの調が「何調」か判断する
✓もとの調の主音を
指定された音程で動かす
✓移動した主音の調が、
♯・♭が何コつくか判断する

前述の「こいのぼり」を
「短2度下」に移調した結果、
「ニ長調」になりましたね。

この「ニ長調」の調号を答えれば良いわけです。

ニ長調は♯が2つ、
すなわち答えは=4でした!

まとめ 調号や音程はゼッタイおぼえる

移調の問題で扱われる調は、
ハ長調以外、6種類に限られます。

それぞれの調と調号の関係、
すなわち調の主音、♯や♭が何コついて、
どこにつくのか・・・
はスラスラ出てくるように覚えておきましょう。

また「音程」についても
6種類に限られます。
鍵盤の数を覚えておいて、
チャチャっと移動できるようにしておくと良いですね。

またイタリア語音名(ドレミ・・・)、
日本語音名(ハニホヘト・・・)、
英語音名(CDEFG・・・)についても、
読み替えがサクっとできると良いですよ!

音名を復習する

次回は問6に出てくる、
音階の問題を取り上げます。