子どもの歌の譜面が示され、
「音を高く」「音を低く」するという
移調に関する問題は、
平成18年以来ずっと続いています。
これを解くには、
「何度下げる(上げる)か」
に対応するための「音程」の知識と、
「調と調号」の知識があれば楽勝です。
この「音程」「調と調号」に関する問題は、
パターンが何種類かああります。
①「~度」下げる(上げる)と音はどうなるか
②「~長調」にするとコードはどうなるか
③「~度」下げる(上げる)と何調(調名)になるか
④「~度」下げる(上げる)と調号はどうなるか
それぞれの解きかたを、
分けて解説していきます。
どのパターンが出ても困らないよう、
ポイントを押さえていきましょう!
その1)音程を上下させる移調の問題
「~度」下げる、または上げるようにと、
音程の度数で移調を指示する問題です。
以下は平成24年の問題です。
※「こいのぼり」は著作権が消滅しています。
大丈夫、
この曲が「こいのぼり」と分からなくても、
問題は解けます。
このパターンの問題は、
✓ABCの音を正しく読み、
✓指定された度数分移動させる
やることは、たったコレだけです。
ABCの音を正しく読む(ひっかからない!)
このパターンで「移調」の問題が出るとき、
もとの楽譜にかなりの確率で「♯や♭」がついています。
つまりひっかけ問題なのです。
曲についている「調号」に気づかないと、
ほぼひっかかります。
では先ほどの「こいのぼり」の問題で
見てみましょう。
赤で囲んだ調号、つまり♭を見落とすと、
A→シ、B→ファ、C→ソ
と読んでしまいます。
しかし!!
この曲には♭が3つ付いているので、
「シ・ミ・ラ」に必ず♭が付くのでしたね。
なので再度、気をつけて読むと、
A→シ♭、B→ファ、C→ソ
となります。
くれぐれも「調号」を見落とさないように!
指定された度数分 移動させる
音程については、しっかり覚えましたか~?
保育士試験で出る音程、
すなわち「度数」はたった6種類です。
おまじないのように覚えてしまいましょう。
度数 | 鍵盤の数 | 度数 | 鍵盤の数 |
短2度 | 2つ | 長2度 | 3つ |
短3度 | 4つ | 長3度 | 5つ |
完全4度 | 6つ | ||
完全5度 | 8つ |
→音程をしっかり復習する
上記の表にある鍵盤の数だけ、
下げたり上げたりして、移動させます。
ここで気をつけること。
■下げるときは鍵盤の「左側へ」
/上げるときは鍵盤の「右側へ」
■数えるとき「もとの音」を①とカウントする
■白と黒の鍵盤すべてをジグザグにカウントする
平成24年の問題の答えは・・・
では先ほどの「こいのぼり」の問題を
解いてみましょう。
まず問われているA~Cの音を、
正確に読み、
鍵盤上で間違わずにチェックします。
調号に気をつけて・・・
A→シ♭、B→ファ、C→ソ でしたね。
そうすると、
A→⑯、B→⑪、C→⑬になりました。
これらの音を、
「短2度下」に移動させるということは、
「鍵盤2コ分」左に移動ということです。
すなわち答えは=2でした!
その2)コードの移調
「~長調」に移調した場合、
指定されたコードはどうなるか、
という問題です。
過去5回、出ました。
以下は平成30年後期の問題です。
※「どんぐりころころ」は著作権が消滅しています。
このパターンの問題の解きかたには、
以下の3つのポイントが重要です。
✓もとの調は「何調か」判断する
✓何度下げる(上げる)のか音程を判断する
✓コードを「英語の音名と考えて」
音程分だけ移動する
そう、コードと聞くと「え!?」
と身構える人もいますが、
この問題は「コードの構造」はあまり関係ないです。
では詳しく見ていきましょう。
もとの調は「何調」か
第一段階として、
移調する前の「もとの調」は何調かを、
間違えずに判断します。
調と調号については覚えましたか~?
おまじないのように覚えてしまいましょうね。
保育士試験に出るのは、
♯、♭3つまでの調です。
以下の調さえ覚えれば大丈夫でしょう。
調の名前 | 調号 | ♯・♭がつく音 | 主音(音階の始まりの音) |
ハ長調 | 何もつかない | ド | |
ト長調 | ♯が1つ | ファ | ソ |
ニ長調 | ♯が2つ | ファ・ド | レ |
イ長調 | ♯が3つ | ファ・ド・ソ | ラ |
ヘ長調 | ♭が1つ | シ | ファ |
変ロ長調 | ♭が2つ | シ・ミ | シ♭ |
変ホ長調 | ♭が3つ | シ・ミ・ラ | ミ♭ |
トニイ、ヘロホ、ファドソ、シミラ・・・
などと唱えて覚えて下さいね!
では先ほどの問題の「どんぐりころころ」は、
何調でしょうか?
♯が2つついているので「ニ長調」ですね。
何度下げる(上げる)のか?移調先の調との音程
「ニ長調」のどんぐりころころを、
「ハ長調」にする問題です。
何度下げる(上げる)と「ハ長調」になるのか?
この2つの調の音程を調べるときは、
それぞれの調の主音どうしの音程に注目します。
主音どうしを調べると、
鍵盤3コ分、下に移動することが分かりました。
ということは、コードについても
鍵盤3コ分(長2度)下に移動すれば良いのです!
コードを音程分 移動させる
移動させるコードは、
D、A、G、E7の4つです。
まず、このコードネームのアルファベットを、
英語の音名と捉えて、
分かりやすいドレミに置き換えます。
もちろん、
英語音名のままでOKの人は、
そのままで良いですよ。
→英語の音名を復習する
次に赤い文字の音を、
鍵盤3コ分下へ移動させます。
ここまで出来たら、
あとは移動した音を英語の音名に変えれば、
コードネームになります。
すると答えは=1ですね。
コードネームの「根音」を、
音程分の鍵盤の数だけ移動する、
というイメージです。
この時、
「~7」「dim」「aug」「m」などは、
移動先でも同じようにつきますので、
忘れないように・・・。
その3)移調した時の調名・調号を答える問題
平成30年前期までは、
問5でずっと、この問題が出ていました。
問4で「完全4度下に・・・」などの問題があり、
問5で「何調になりますか」と聞くパターンです。
ここ最近、5回にわたって
リズム問題が出されていて姿を消していますが、
また出るとも限りません。
この問題の解きかたは、
以下のとおりです。
✓もとの調は「何調か」判断する
✓その調の主音(音階の始まりの音)を、
指定されている音程で下げる(上げる)
✓移動した音が主音になる調名を答える
それでは前術の平成24年の問題、
「こいのぼり」を使ってみてみましょう。
問4では「短2度」下げると、
音はどうなるか、でした。
ここでは「短2度」下げると、
調はどうなるか、です。
もとの調は「何調」か
先ほどの「こいのぼり」はこちらです。
♭3コがつくのは何調でしょうか?
調のまとめ、再掲しますね。
調の名前 | 調号 | ♯・♭がつく音 | 主音(音階の始まりの音) |
ハ長調 | 何もつかない | ド | |
ト長調 | ♯が1つ | ファ | ソ |
ニ長調 | ♯が2つ | ファ・ド | レ |
イ長調 | ♯が3つ | ファ・ド・ソ | ラ |
ヘ長調 | ♭が1つ | シ | ファ |
変ロ長調 | ♭が2つ | シ・ミ | シ♭ |
変ホ長調 | ♭が3つ | シ・ミ・ラ | ミ♭ |
はい、♭3コは「変ホ長調」で、
調の主音は「ミ♭」です。
この「ミ♭」を「短2度」下げれば良いのです。
調の主音を下げる(上げる)
「短2度」は「鍵盤数2コ」です。
ミ♭を左側へ「鍵盤2コ」移動させましょう。
移調先の調の主音は「レ」
ということが分かりました。
レを日本語音名に直すと・・・
「ニ」ですね。
ということで答えは「ニ長調」
4が正解です。
移調した調の「調号」は
このパターンの問題も、
問5で何回かでました。
手順はほぼ先ほどの、
移調した調の「調名」を答えるのと同じです。
✓もとの調が「何調」か判断する
✓もとの調の主音を
指定された音程で動かす
✓移動した主音の調が、
♯・♭が何コつくか判断する
前述の「こいのぼり」を
「短2度下」に移調した結果、
「ニ長調」になりましたね。
この「ニ長調」の調号を答えれば良いわけです。
ニ長調は♯が2つ、
すなわち答えは=4でした!
まとめ 調号や音程はゼッタイおぼえる
移調の問題で扱われる調は、
ハ長調以外、6種類に限られます。
それぞれの調と調号の関係、
すなわち調の主音、♯や♭が何コついて、
どこにつくのか・・・
はスラスラ出てくるように覚えておきましょう。
また「音程」についても
6種類に限られます。
鍵盤の数を覚えておいて、
チャチャっと移動できるようにしておくと良いですね。
またイタリア語音名(ドレミ・・・)、
日本語音名(ハニホヘト・・・)、
英語音名(CDEFG・・・)についても、
読み替えがサクっとできると良いですよ!
次回は問6に出てくる、
音階の問題を取り上げます。