今回のテーマは「音階と調」です。
過去問の最近の傾向では、
問6に
必ず調に関する問題が出されています。
「〇長調の階名●は、音名△である」
・・・〇か×か?
「〇長調の調号は、♭が●つである」
・・・〇か×か?
というような問題です。
また問4では必ず
「移調問題」が出ています。
問5については、
ここ最近はリズム問題が出ていますが、
平成30年前期までは、
移調した場合の調号(♯や♭がいくつ付くか)を
尋ねる問題が出ていました。
「音階と調」については避けて通れないので、
気持ちがラクになるように・・・
解説していきますね!
一度コツを覚えてしまえば、
どんな問題が出されても大丈夫になりますよ。
一緒に取り組んでいきましょう!
音階とは
音階の意味を知ろう
音楽の仕組みを理解するうえで、
徹底講座⑦で解説した「音程」に次いで必須となるのが
「音階」です。
音階とは、
ある楽曲を構成する音たちを、
1オクターブの範囲内で、
高さの順に並べたものです。
音の数は・・・
音階によっていろいろです。
音は全部で12コありますね。
(高さは関係なく、ド・ド#・レ・・・シまで)
12コすべて使う「12音音階」や
「5音音階」というのもあります。
音階の種類も実にさまざまで、
日本古来のものから
世界中の民族感あふれるものまであります。
その中でも最もポピュラーな「7音の音階」、
つまり
7つの音を使う音階のひとつが「長音階」です。
この「長音階」が楽曲の音階にが使われている場合、
➡ 「長調」の曲となります。
では、
この「長音階」の仕組みを探っていきましょう。
長音階のしくみ
「長音階」は、
保育の曲のほとんどに当てはまるように、
明るく、分かりやすい印象を持ちます。
長音階は、12コの音の
どの音からスタートしても良いのですが、
スタートした音からは
「ある規則」に従って並べます。
その規則とは、
全音(長2度)と半音(短2度)の組み合わせです。
➡ 長2度、短2度については徹底講座⑦を参照
【長音階の並びかた】
全音ー全音ー半音ー全音ー全音ー全音ー半音
この規則に従って
「ド」の音からスタートした「長音階」が・・・

あれ?
なんだか、見たことありますよね?
よく見かける「ドレミファソラシド」です。
白い鍵盤を・・・
ドからドまで弾いた音階です。
これが「長音階」です。
「ド」ではない音から「長音階」を始めて、
「全音ー全音ー半音ー全音ー全音ー全音ー半音」
で調整すると・・・

このように、
♯や♭をつけた音階となります。
全音とか、半音とか・・・
はゆっくり覚えるとして、
この有名な「ドレミファソラシド」が
「長音階」と覚えて下さいね。
ちなみに、
暗い印象になる「短音階」については、
保育士試験では出ませんので、
ここでは扱いません。
調について
調の意味を知ろう
調とは、いま見てきた音階について、
どこの音で始まり、
どの音階(長音階か短音階など)を使うか
を表す音楽用語です。
「長音階」に基づく楽曲は「長調」の曲となります。
反対に、
「短音階」に基づく楽曲は「短調」の曲です。
そして「使われる音階のスタートの音=主音」を
日本語音名で表します。
たとえば「ド」が主音の「長音階」の曲を
ハ長調と呼びます。
→ 日本語音名については徹底講座③を参照

保育士試験に出る「7つの調」
調の意味が分かったところで、
過去問の分析の結果、
試験に出る「7つの調」にしぼって解説していきます。
試験に出る調は、この7つです。
・ハ長調、
・ト長調、ニ長調、イ長調
→ ♯系
・ヘ長調、変ロ長調、変ホ長調
→ ♭系
音楽を本格的に学ぶ場合はべつですが、
保育士試験には、
この7つを覚えればじゅうぶんです。
これから詳しく見ていきますが、
音階に♯や♭が付く数が3つまで
を覚えましょう。
調号について
調号の意味(何がいくつ付くのか)
スタートの音(主音)によって、
規則に従って♯や♭で整えた結果、
何(♯や♭)がいくつ付くのかを表すのが
調号です。
♯や♭を、
いちいち音符に付けるのではなくて、
「この曲には、もともと、
この音に♯をつけますよ!」
というメッセージを、
5線譜の最初に表します。
調号は、
曲の最初はト音記号と拍子記号の間に書き、
その後の五線譜にも、
ト音記号の右側にずっと示されます。

覚えるべき7つの調の調号
何(♯か♭)がいくつ付くのか・・・
が調号でしたね。
では、いよいよ
保育士試験に出る7つの調号を覚えましょう。
保育士試験に出る、
覚えるべき7つの調の調号は
以下の通りです。

♯系の覚えかた
まず、
何もつかない「ハ長調」は大丈夫ですね!
それでは♯系から見ていきましょう。
♯が1コつくのは →ト長調、
2コ → ニ長調、
3コ → イ長調
これを「おまじない」のように、
「シャープはト・ニ・イ」 「シャープはト・ニ・イ」
と「順番」を覚えます。
そして「♯がどこに付くか」にも
規則性があります。
♯が1コつくときは →
「ファ」につく
♯が2コつくときは →
「ファ」と「ド」につく
♯が3コつくときは →
「ファ」と「ド」と「ソ」につく
つまり
「ファ」→「ド」→「ソ」の順番に、
重なって増えていくイメージです。
「この曲は、レにだけ1コつけようかな~」
というのは
「長音階」の場合あり得ません。
♯1コがつく曲は、必ず「ト長調」です。
※短調など他の調もあり得ますが、
保育士試験に限ると、出ません。
♯系の音階を見てみる
調号で示された♯は
「この曲ではこの音に♯をつけてね!」
という指示です。
なので
ト音記号と共にまとめて指示したあとは、
譜面上の音符ごとには♯を書きません。



【覚えること】
①♯系で覚えるのは
「ト長調」「ニ長調」「イ長調」
②音階の主音(スタートの音)は
「ト」はソ、「ニ」はレ、「イ」はラ
③「ト長調」「ニ長調」「イ長調」 の順番に
♯1コ・2コ・3コと増える
③何の音につくか
→ 1コの時は「ファ」(ト長調)
→ 2コの時は「ファ・ド」(ニ長調)
→ 3コの時は「ファ・ド・ソ」(イ長調)
♭系の覚えかた
♯系と同じように♭系にも規則性があります。
♭が1コつくのは → ヘ長調、
2コは → 変ロ長調、
3コは → 変ホ長調
これを「おまじない」のように、
「フラットはへ・ロ・ホ」
「フラットは へ・ロ・ホ 」と「順番」を覚えます。
この時じゅうぶん気をつけたいのが
「変ロ」「変ホ」の音です。
「変」というのは、
日本語音名で「♭」を意味するのでしたね。
→ 日本語音名については徹底講座③を参照
ということは
「変ロ」はシの♭、
「変ホ」はミの♭です。
そして「♭がどこに付くか」にも
規則性があります。
♭が1コつくときは →
「シ」につく
♭が2コつくときは →
「シ」と「ミ」につく
♭が3コつくときは →
「シ」と「ミ」と「ラ」につく
つまり
「シ」→「ミ」→「ラ」の順番に、
重なって増えていくイメージです。
「この曲は、ラにだけ1コつけようかな~」
というのは
「長音階」の場合あり得ません。
♭1コがつく曲は、必ず「ヘ長調」です。
※短調など他の調もあり得ますが、
保育士試験に限ると、出ません。
♭系の音階を見てみる
調号で示された♭は
「この曲ではこの音に♭をつけてね!」
という指示です。
なので
ト音記号と共にまとめて指示したあとは、
譜面上の音符ごとには♭を書きません。



【覚えること】
①♭系で覚えるのは
「ヘ長調」「変ロ長調」「変ホ長調」
※「変」がつくことを忘れずに!
②音階の主音(スタートの音)は
「へ」はファ、「 変ロ 」はシ♭、
「変ホ」はミ♭
③ 「ヘ長調」「変ロ長調」「変ホ長調」の順番に
♭1コ・2コ・3コと増える
③何の音につくか
→ 1コの時は「シ」(ヘ長調)
→ 2コの時は「シ・ミ」(変ロ長調)
→ 3コの時は「シ・ミ ・ラ」(変ホ長調)
まとめ ~ 試験に出る調にしぼって、しっかり覚えよう ~
「音階と調」そして調号は
パッと見が難しそうですが、
一度おぼえてしまえばラクになります。
もう一度、まとめます。
【調の意味】
「何の音」で始まる、
どんな音階を使うか、を表す。
例:変ロ長調 →
変ロの音(シの♭)で始まる
「長音階」を使う楽曲
【長音階とは】
保育の歌で良く歌われるように、
明るく楽しい、分かりやすい音階。
※短音階は、
過去問では一度も出ていません。
【覚える調】この7つだけ!!
ハ長調、
ト長調(♯×1コ)
ニ長調(♯×2コ)
イ長調(♯×3コ)
ヘ長調(♭×1コ)
変ロ長調(♭×2コ)
変ホ長調(♭×3コ)
この♯と♭が何コ = 〇〇長調
を覚える!!
【どの音に♯・♭がつくのか】
♯×1コ →
「ファ」につく(ト長調)
♯×2コ →
「ファ・ド」につく(ニ長調)
♯×3コ →
「ファ・ド ・ソ」につく(イ長調)
♭×1コ →
「シ」につく(ヘ長調)
♭×2コ →
「シ・ミ」につく(変ロ長調)
♭×3コ →
「シ ・ミ ・ラ」につく(変ホ長調)
♯系の調は・・・ト・ニ・イ
♭系の調は・・・ヘ・ロ・ホ
♯がつく順番は・・・ファ・ド・ソ
♭がつく順番は・・・ヘ・ロ・ホ
※変ロ、変ホ
これらを「おまじない」だと思って、
何度も唱えて覚えるか、
フラッシュカードや単語帳のようなものに書いて
持ち歩くのも良いかと思います。
覚えるだけだとキツイですが・・・
この後に始まる「問題の解き方講座」では、
これらを存分に生かして
問題を解くことができます。
ぜひ「おまじない」を
楽しんで覚えて下さいね!!