2回目は「コード問題の解きかた」です。
現在の試験制度になって以来、
コードに関する問題は必ず出ています。
問題のパターンは3種類。
①譜面に示された和音の中から、
マイナーコードをえらぶ
②示されたコードネームに対して、
当てはまる鍵盤の組み合わせをえらぶ
③譜面に示された和音に対して
当てはまるコードネームをえらぶ
初期の問題は③のパターンで2回、
それ以来ずっと②の問題が続いていました。
ところが令和3年前期の問題は、
突如①のパターンになりました。
同じようにマイナーコードを問う問題は、
平成17年に1回だけ出ているので、
久しぶりでしたね。
となると令和3年の後期では、
どのパターンが出るか読めなくなりましたが、
①でも②でも③でも困らないように、
ガッツリ解説していきますね。
保育士試験に出るコードについては、
コード①トライアド(3和音)
コード②セブンスコード(4和音)
コードの転回形
↑上記で詳しく解説していますので、
参考にしてくださいね!
①のパターン:マイナーコードを見つける
徹底講座⑨で解説したとおり、
マイナーコードはトライアド(3和音)
つまり3つの音が「3度ずつ」重なってできています。
トライアドの4種類のうち、
マイナーコードは次の【特徴】を覚えることで、
確実に見分けることができます。
マイナーコードの特徴
【特徴】
・「根音ー第3音」:短3度→鍵盤数4コ
・「第3音ー第5音」:長3度→鍵盤数5コ
【鍵盤数のかぞえかた】
・白い鍵盤、黒い鍵盤すべてを、
ジグザグにかぞえる。
・その音から→その音までかぞえる。
例)「ド~ミ」は「ド」も含めて
「ド・ド#・レ・レ♯・ミ」→鍵盤数5コ
この【特徴】と「長3度・短3度」の調べかた、
すなわち「鍵盤数のかぞえかた」をマスターすれば、
まちがいなくコードを見分けることができます。
転回形→基本形の戻しかた
ただ「転回形」に気をつけましょう。
コードはいつも順番に並んでいるとは限りません。
根音、第3音、第5音がシャッフルしている、
つまり転回形で示されることもあります。
まずは基本形なのか、転回形なのかを判断、
転回形の場合は基本形に直してから、
先ほどの【特徴】をもとに判断していきます。
上の画像のように、
コードの基本形は3つの音が
「3度ずつ」団子のように重なっています。
音がシャッフルして転回形になっていると、
くっつかずに離れている音があります。
この離れている音を
オクターブ上下させて移動すると、
基本形に戻ります。
基本形に戻りましたね。
こうなれば、あとは・・・
短3度ー長3度、または鍵盤数4ー5
をチェックすればOK!
この一連の流れを覚えてしまいましょう!
例題を解いてみましょう
次のコードのうち「マイナーコード」を
すべて選んでください。
【手順①】
転回形のコードを基本形にしましょう。
パッと見て・・・⑥だけが基本形で、
あとはすべて転回形ですね。
すべてのコードが基本形になったら、
あとは音程をチェックします。
短3度・長3度、鍵盤数4・5コですね。
すべての音程(鍵盤数)をチェックした結果、
上記のようになりましたか?
すると答えは②④⑤です。
ちなみに①~⑥のコードネームは、
①Ddim ②Am ③F
④Gm ⑤Cm ⑥E♭aug
でした!
→他のコードを復習する
マイナーコード以外がでたら・・・
令和3年前期の問題では、
マイナーコードを問われましたが、
他のコードが出る可能性もあります。
他のコードといっても、
保育士試験で扱うのは、
・トライアド(3和音)4種
・セブンスコード(4和音)2種
に限られると思います。
トライアド (3和音) | ①メジャー | ②マイナー | ③オーギュメント | ④ディミニッシュ |
セブンスコード (4和音) | ①セブンス | ②メジャーセブンス |
もしマイナーコード以外のコードが出たら、
マイナーコードの時と同じ手順で解きましょう。
手順①転回形のコードは基本形にする
手順②音程(鍵盤数)をコードの特徴にそって
チェックする
他のコードの【特徴】は覚えていますか?
コードの種類 | 根音-第3音-第5音の 音程のくみあわせ | 根音-第3音-第5音の 鍵盤数のくみあわせ | |
① | メジャーコード | 長3度+短3度 | 5コ+4コ |
② | マイナーコード | 短3度+長3度 | 4コ+5コ |
③ | オーギュメントコード | 長3度+長3度 | 5コ+5コ |
④ | ディミニッシュコード | 短3度+短3度 | 4コ+4コ |
コードの種類 | 第7音の 考えかた① | 第7音の 考えかた② | |
① | セブンス | メジャーコード + 短3度(鍵盤数4コ) | 根音の1オクターブ上の音 から 長2度(鍵盤3コ)下の音 |
② | メジャーセブンス | メジャーコード + 長3度(鍵盤数5コ) | 根音の1オクターブ上の音 から 短2度(鍵盤2コ)下の音 →となりの鍵盤!! |
これだけでは分かりにくい方は、
ぜひ徹底講座を読んでみて下さいね!!
②のパターン:コードネームに合う鍵盤の位置をえらぶ
令和2年の後期問題まで10年以上、
このパターンが続きました。
再び出る可能性は大きいので、
しっかり対策をしておきましょう。
コツ① コードネームをみて音が書けるように
コードネームを見て、
構成音をまちがいなく書けること。
保育士試験に出る可能性が高い、
・トライアド(3和音)4種
・セブンスコード(4和音)2種
これらの6種のコードの特徴を確実に覚え、
構成音が書けるようにしておきましょう。
問題に出ているコードネーム、
アルファベットが「根音」です。
・アルファベットのみ→メジャーコード
・小文字「m」→マイナーコード
・小文字「aug」→オーギュメント
・小文字「dim」→ディミニッシュ
・アルファベット+7→セブンス
・アルファベット+major7→メジャーセブンス
問題用紙の横に、
構成音をチャッチャと書いていきましょう。
先ほどの令和2年後期の問題で
やってみましょう。
コードの構成音 | |
F# | ファ#・ラ#・ド# |
Gm | ソ・シ♭・レ |
B♭7 | シ♭・レ・ファ・ラ♭ |
Caug | ド・ミ・ソ# |
コツ② セブンスコードの第5音は省略される
令和2年後期の問題を見てもわかるように、
それぞれのコードには、
3つの音しか割りふられていません。
トライアド(3和音)はもともと3音ですが、
セブンスコード(4和音)は4音なのに・・・。
徹底講座でも解説しましたが、
セブンスコードの4つの音のうち、
コードの特徴づけに必要な音のランク付けをすると、
第5音が一番省略しやすいので、
カットされることが多いです。
先ほどの令和2年後期の問題でも、
回答の選択肢には、
3つずつしか音の番号が書かれていませんね。
このB♭7も、もれなく第5音は省略されていて、
根音と第3音、第7音の組み合わせが問われていました。
B♭7の第5音を省略すると、
この3つの音になりますね。
B♭7 | シ♭・レ・(ファ)・ラ♭ |
この「セブンスコードの第5音は省略される」
というポイントを押さえれば、
落ち着いて答えにたどりつけるでしょう。
コツ③ 音はいろいろな高さで出される
コードに含まれる3つの音を、
しっかり書ければOK!
・・・ですが、
この3つの音は「基本形」として
順序よく鍵盤に配置されることはないです。
ほとんどの場合シャッフルされて、
いろいろな高さに配置されます。
なので重要なポイントは、
鍵盤に示された番号の音を、
高さに惑わされずにしっかり読む!です。
先ほどの令和2年後期の問題の、
鍵盤の音を読んでみましょう。
ここで注意したいのが、
黒い鍵盤の読みかたです。
コードによっては、
♯の音で使う場合と、
♭の音で使う場合とに分かれます。
どちらの音でも読めるようにしましょう。
コツ④ 解きかたの手順
コツ①②③をふまえて、
解くときに大事なのが手順です。
手順は大きく2パターン。
あなたが「やりやすい方」でやってみてくださいね。
【手順1】 1)コードを見て構成音をメモする。 2)メモした音を鍵盤の位置から拾う。 3)2)で拾った音と、回答に示された 鍵盤の位置番号を照らし合わせて正解を導く。 (迷った場合は消去法で) 【手順2】 1)コードを見て構成音をメモする。 2)回答例に示された鍵盤の位置番号を、 鍵盤を見ながらすべて音で書く 3)1)で書いたメモと2)で書いた音を 照らし合わせて正解を導く。 (迷った場合は消去法で)
特に大事なのが、手順1の
コードネームをみて構成音をメモすること。
ここが間違っていては、
答えが見つかりません。
覚えるべき6種類のコードは、
しっかり音が書けるようにしておきましょうね!
では、2つの手順を使って、
実際に例題で解いてみましょう。
例題~2つの手順で解いてみよう~
例題はこちらです。
上記の問題を読んだら、
どちらの手順を使うにせよ、
まずは「しっかりコードの音」を書きましょう。
解きかた_手順1
1)コードネームを見て構成音をメモする。
2)同時に、当てはまる鍵盤の番号もメモする。
コードネーム | コードの構成音 | 左の音の鍵盤の位置番号 |
C♯m | ド♯・ミ・ソ♯ | ⑦⑲・⑩・②⑭ |
Daug | レ・ファ♯・ラ♯ | ⑧⑳・⑫・④⑯ |
A♭7 | ラ♭・ド・(ミ♭)・ソ♭ | ②⑭・⑥⑱・(⑨)・⑫ |
G♭ | ソ♭・シ♭・レ♭ | ⑫・④⑯・⑦⑲ |
※音によっては、2か所ある場合もあるので、
注意して拾っていく。
3) 2)で拾った音と、
回答に示された鍵盤の位置番号を
照らし合わせて正解を導く。
正しい組み合わせは・・・
C♯m→イ、Daug→ア
A♭7→ウ、G♭→イ
回答は4でした!
解きかた_手順2
1)コードを見て構成音をメモする。
C♯m | ド♯・ミ・ソ♯ |
Daug | レ・ファ♯・ラ♯ |
A♭7 | ラ♭・ド・ミ♭・ソ♭ |
G♭ | ソ♭・シ♭・レ♭ |
2)回答例に示された鍵盤の位置番号を、
鍵盤を見ながらすべて音で書く
3)1)で書いたメモと2)で書いた音を
照らし合わせて正解を導く。
正しい組み合わせは・・・
C♯m→イ、Daug→ア
A♭7→ウ、G♭→イ
回答は4でした!
どちらの方法でも構いません。
多少こまかく解説してますので、
途中のプロセスをカットしても良いですよ。
③のパターン:譜面の和音に合うコードネームをえらぶ
この問題は、
平成16年と18年に出ました。
このパターンが再び出るかどうか・・・
もし出たとしたら、ポイントは2つです。
✓調号に気をつけて「基本形に直す」
✓音程をチェックしてコードネームを導く
そうすると答えは「4」ですね。
・調号を見て「きちんと♯や♭をつける」
・転回形を「きちんんと基本形に直す」
この2つが出来れば、
このパターンの問題は大丈夫です。
こちらは平成18年の問題です。
この問題も同じように、
調号→♯をふたつ「ファとド」につける、
という点が大事です。
答えは「5」ですね。
パターン3問題は出る確率は低そうですが、
もし出たとしたら・・・
・調号に気をつける
・きちんと基本形に戻す
を念頭に置いて解いてください。
まとめ コードの構造をしっかりおぼえること
今回はコード問題の解きかたを解説しました。
どのパターンの問題が出るか、
まったく予想がつきませんが、
共通して言えることは以下です。
この3つのポイントがとっても大事です。
たくさんの練習問題を解くまえに、
しっかり上記のポイントを押さえて下さい。
分からなくなったら、
ぜひコードの徹底講座で学んでくださいね!