保育実習理論♪おぼえよう!音楽の基礎知識⑥日本の伝統音楽

おぼえよう!音楽の基礎知識シリーズ⑥保育士試験
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日本の伝統音楽、
すなわち「邦楽」に関する問いが、
ここ最近になって
出されるようになりました。

自国の音楽にも目を向けよう、
ということなのでしょうか・・・。

平成28年前期、
平成29年後期、
平成30年前期、
そして平成31年前期で
出されています。

記事中、赤字にしているものが、
問題に出ています。

この傾向は続くかも知れないので、
出そうなものにしぼって、
覚えておくと良いと思います。

雅楽

雅楽の楽器

覚えておきたい豆知識

日本の古典音楽のひとつです。

宮内庁の式部職楽部の定義によると、
宮内庁式部職楽部が演奏する曲の、
洋楽を除くものを指します。

多くは器楽曲で
宮廷音楽」として継承されています。

現在でも大編成の合奏で
演奏される伝統音楽としては、
世界で最古の様式だそうです。

平成28年前期の問題では、
「古くから日本の宮廷で
 演奏されてきた音楽である」
〇か、✕か?でした。

※答えは〇ですね!

使われる楽器

雅楽で使われる楽器は、
たくさんの種類がありますが、
主なものは
次の3種類に分けられます。

吹く楽器(管楽器):三管

三つの管楽器を合わせて、
「三管」と呼びます。

笙(しょう)
笙

「天から差し込む光」を表す楽器。

金属のリードがついた竹を、
長短合わせて17本束ねたもの。

5~6音を同時に鳴らせるので、
雅楽には珍しく、
和音を奏でる役を持っています。

龍笛(りゅうてき)
龍笛

「天と地の間を
縦横無尽にかけめぐる龍」
を表す楽器。

横笛(おうてき)とも呼ばれ、
主にメロディーを担当します。

2オクターブの音域があり、
低い音から高い音の間を
縦横無尽にかけ抜ける音色が
名前の由来になっています。

篳篥(ひちりき)
篳篥

蘆舌(ろぜつ)を差しこんで演奏する
竹製の縦笛です。

「地上にこだまする人々の声」
を表す楽器。

塩梅(えんばい)をスライドさせながら
音程を変える奏法と、
大きな音量が特徴です。

打つ楽器(打楽器):三鼓

3つの打楽器を合わせて、
三鼓と呼びます。

三ノ鼓(さんのつづみ)
三の鼓

両面の太鼓。

直接床の上に真横に置いて、
左手で固定し、
右手のバチで打ちます。

合奏全体のテンポを整える
指揮の役割を担っています。

鉦鼓(しょうこ)
鉦鼓(しょうこ)

雅楽で唯一の金管楽器。

雅楽では
「しょうこ」または「しょうご」と呼び、
仏教で使われるときは、
鉦(かね・しょう)とも呼ばれます。

直径15センチの
青銅製の鼓の内側を
2本のバチで打ちます。

時間を少しずらしながら、
特有のリズムをつくるのが特徴。

楽太鼓(がくだいこ)
楽太鼓

釣太鼓とも呼ばれ、
管弦のときに使われます。

※舞楽のときは大太鼓が使われます。

舞台の正面に配置され、
楽節の終わりごとに
太鼓の一撃が入るのが特徴。

楽曲の全体をまとめる
重要な役割を果たしています。

弾く楽器(弦楽器):両弦(二弦)

両弦とは次の2つの楽器を指し、
同じパターンを弾くことで、
拍を明確にする役を果たします。

楽琵琶(がくびわ)
琵琶

日本には多くの種類がありますが、
おもに雅楽で使われる琵琶を
「楽琵琶」と呼びます。

日本の琵琶の中では一番大きく、
バチは最も小さいです。

合奏では、楽箏(がくそう)とともに、
リズムを刻む役割をつとめます。

楽箏(がくそう)
筝

琴とよばれる楽器に似ていますが、
雅楽で使われる13弦のものを
「楽箏」と呼びます。

いくつかの演奏パターンを組み合わせて、
曲全体のリズムを刻む役を担います。

太めの弦、竹製のツメなどが
特徴です。

声明(しょうみょう)

日本の仏教の儀礼で唄われる
声楽曲
の総称です。

仏教の伝来とともに
日本に渡ってきたとされています。

平成31年前期の問題では、
「声明は『しょうみょう』と読み、
日本の仏教音楽の一つである」
〇か、✕か?でした。

※答えは〇ですね!

先祖の供養や国家の安穏(あんのん)、
仏さまへの報恩(ほうおん)
などを唱えます。

時代が進むとともに、
次第に音楽的な内容に
変化してきています。

また宗派によって、
その声明の特徴も異なり、
同じお経を唱えても、
別のお経を唱えているように
聞こえる場合も。

祭囃子(まつりばやし)

祭の際に演奏される音楽で、
各地域のお祭とともに
発展してきました 。

広くは神社の祭礼に奉納される、
すべての芸能の囃子を指します。

一方、狭い意味では
お神輿(みこし)とともに練り歩く
山車(だし)や屋台(やたい)などで
演奏される囃子のことを指します。

平成29年後期の問題では、
「祭囃子は、
祭りの時に演奏される
音楽の一つである」
〇か、✕か?でした。

※答えは〇ですね!

地域により違いがありますが、
主な楽器としては太鼓や篠笛(しのぶえ)、
鉦(かね)などが使われます。

地域によっては、弦楽器が加わったり、
太鼓だけを使う、
または謡(うたい)や
掛け声が入る場合も。

能(のう)

14世紀の半ば、
観阿弥と世阿弥の二人が、
武家の教養として完成させました。

「能楽(のうがく)」の一分野で、
舞踏と音楽が中心です。

平成30年前期の問題では、
「能は、歌舞伎など
日本の伝統芸能の源流を
なすものである」
〇か、✕か?でした。

※答えは〇ですね!

「謡(うたい)」と呼ぶ声楽と、
「囃子(はやし)」の楽器演奏に合わせて、
舞踏的な動きで物語が進みます。

囃子の楽器は
笛、小鼓、大鼓、太鼓の
4種類です。

特徴としては、
能面と美しい装束を身に着けて、
専用の能舞台で演じられることです。

狂言(きょうげん)

能と同じ舞台で演じられますが、
対話を中心としたせりふ劇を、
狂言といいます。

歌舞が中心の優雅な能に対して、
写実的な演技の狂言は、
滑稽なセリフが多く、
面白く笑える物語が中心です。

また、狂言では
お面を付けないことが多いです。

せりふ劇である狂言にも
囃子が入る曲が多く、
楽器は主に能と同じく、
笛や小鼓、大鼓、太鼓です。

能とくらべると穏やかな演奏で、
歌謡的な印象を与えています。

歌舞伎

歌舞伎座
歌舞伎座

江戸時代に誕生した、
せりふ・音楽・舞踊が一体となった
日本の古典演劇の一つ。

能や狂言が
武家の教養であったのに対して、
歌舞伎は庶民のための芸能として
発展してきました。

音楽は三味線が中心で、
お芝居は物語性を盛り込んでいます。。

演目によって、
演奏する音楽が変わるのが特徴。

大きくは、
歌物と語り物に分かれます。

歌物はメロディーがあり、
おもに踊りの伴奏です。
一方で語り物は、
ナレーションのようなもの。

楽器の中心となる三味線は、
音楽の種類によって、
高音の細棹、
低音の太い棹、
中間の音をだす中棹を
使い分けます。

歌物は
歌と三味線にお囃子が入り、
語り物は、
三味線と太夫(語り部)の組み合わせです。

お囃子には
小鼓、大鼓、太鼓、
そして笛が使われます。
効果音として鐘なども
舞台裏で使われます。

まとめ

そのほかにも、
琵琶楽、筝曲、尺八楽、
三味線楽、民謡楽・・・
など、たくさんあります。

今後、どのような問いが出るか、
分かりませんが、
過去問を見る限り、
この分野に関しては、
深い知識を求めていません。

「日本の伝統音楽か?」
「仏教音楽のひとつか?」など、
基本的なことしか聞いていません。

使われる楽器、
誕生した年代、などには
今のところ言及していないです。

ということで、
・これは「日本の伝統音楽」?
・これは「日本の楽器」?
に答えられる基礎知識を、
しっかり押さえておけば良いでしょう。

楽器についても、サラっと、
・弦楽器なのか
・管楽器なのか
・打楽器なのか
について、
頭の片隅に置いておくと、
役立つかも知れません。

いずれにせよ・・・

平成の中ごろの問題では
全く触れられてこなかった
「日本の伝統音楽」について、
ここ最近になって、
出るようになってきた、
ということは意識しておきましょう!