保育実習理論♪おぼえよう!音楽の基礎知識①音楽教育編

音楽の基礎知識シリーズ①保育士試験
この記事は約10分で読めます。

徹底講座、解きかたシリーズでは、
音楽理論を中心に解説してきました。

保育実習理論の音楽の問題では、
問6で「基礎知識」が出ますね。

これまでの過去問を分析した結果、
出題されやすい項目について、
「おぼえよう!音楽の基礎知識」で解説していきます。

1回目の今回は、リトミック、コダーイなどの
海外で誕生した音楽教育を中心に、
日本の子どものうたの特徴など、
「おぼえておくべき」ポイントを紹介します!

過去に出された問題

下の一覧のように、
音楽教育については問題に出ることが多く、
保育の実践現場でも使われることを考えると、
おぼえておくと良いでしょう。

問6に出た問題〇か×か出題年
小林宗作は、日本にリトミックを普及させた令和元年後期
リトミックは、アメリカの作曲家
ジャック=ダルクローズが考案した音楽教育法である。
平成30年後期
リトミックは、
フレーベル(Frobel,F.W.)が考案した教育法である。
平成24年
「リトミック」は
コダーイ(Kodaly,Z.)によって始められた教育法である。
平成22年
リトミックは、
ジャック=ダルクロースによって創案された音楽教育方法である。
平成16年
コダーイシステムは、アメリカで生まれた教育法である。令和2年後期
コダーイシステムは、ドイツのわらべうたを教育の基本に置いている。平成18年
歌を子どもに教えるときにふさわしいとされる聴唱法は、
別名模唱法ともいう。
平成17年
移動ド唱法とは、階名で歌う唱法である。平成16年
階名ドレミは、11世紀にグィードが考案したものである。平成18年
「母とおさなごの歌」は
幼稚園の創始者フレーベルがまとめたものである。
平成20年
「幼稚園唱歌集」は、
日本で公に出版された最初の幼児用音楽教科書である。
平成18年
ロシアの伝承童謡をマザーグースという。平成19年
日本の子どもの歌は、3拍子の曲が多くみられる。平成18年
自然の音に耳を傾けることは、表現教育の活動に含まれうる。平成16年
コップに水を入れてたたくとき、水の量が多くなると音は高くなる。平成16年

過去問の出題傾向をみると、
リトミック、コダーイ、移動ド唱法、幼稚園音楽教育、
この辺りは押さえておく必要がありそうです。

3大音楽教育メソード【リトミック・コダーイ・オルフ】

20世紀の音楽教育における三大潮流ともいわれた、
リトミック、コダーイ、オルフ。

オルフについては問題に出たことはありませんが、
今さかんに保育現場に取り入れられているため、
それぞれの創始者や特徴について見ていきましょう。

リトミック

スイスの作曲家・音楽教育家の
エミール・ジャック・ダルクローズによって考案された、
音楽教育法。

「音楽はカラダでおぼえるべきだ」と主張。
心とからだの発達段階を考慮し、
音楽を聴く・歌う・作るというすべての体験を、
カラダを動かす経験を通して感じ取らせる教育法です。

リズムという素材を生かして音楽に反応することで、
「感じる心」や想像力、創造力が養われるため、
リトミックは人間教育とも呼ばれています。

コダーイ システム

ハンガリーの作曲家、
ゾルターン・コダーイが開発した、
音楽教育の包括的システム。

「音楽は第2の母国語である」という主張から、
生まれた国のわらべうたが一番の教材と考えました。
わらべうたを通して古くから伝わる伝統や文化はもちろん、
母国語も学んでいきます。

ピアノに頼らず「移動ド唱法」でアカペラで歌い、
ドレミをあらわす「ハンドサイン」を使うのが特徴です。

オルフ システム

ドイツ生まれの作曲家、
カール・オルフが創案した音楽教育法。

子どもには「言葉と歌と動き」が一体となった
音楽がふさわしいと考え、子どものあそびうたを基本にしています。

シンプルで分かりやすい繰り返しで始まり、
楽しく発展させていく活動のために、
オルフ楽器という教育用の楽器を開発しました。

3大教育メソード_まとめ

教育法考案者出身特徴
リトミックダルクローズスイス・カラダを動かしながら音楽を感じる
・リズムに反応することで情操を育む
コダーイシステムコダーイハンガリー・自国のわらべうたを歌うことが大事
・アカペラでハンドサインを使う
オルフシステムオルフドイツ・シンプルな音楽構造を楽しむ
・専用のオルフ楽器を用いる

いろいろな唱法(歌いかた・教えかた)

保育や教育の現場、すなわち子どもたちに歌を教えるとき、
どんな方法で教えるか、歌うのかという方法論です。

大きく分けて、
「聞かせて」教えるか、
「見ながら」教えるか、です。

いろいろな唱法

聴唱法(模唱法)

【聴唱法】とは音楽教育用語で、
他者の歌を聴いて、そのまま真似をして歌うことです。
模倣して歌うため「模唱法」ともいいます。

小さな子どもが母親の歌を聞いたり、
幼稚園や保育園で保育士が歌うのを聞いて、
歌を覚えていくのが、この方法です。

音感を育むのに良いとされますが、
大人が歌うクオリティが低いと
(音程が外れる、リズムが悪いなど)
そのまま伝わってしまうデメリットもあります。

視唱法

【視唱法】とは楽譜を見て歌う方法のことで、
「階名唱法」と「音名唱法」に大きく分類されます。

階名唱法(移動ド唱法)

歌う楽曲が何調であれ、
音階の主音を「ド」と読み、
階名の「ドレミファソラシド」で歌う方法。

いかなる調でも主音を「ド」に移動させるため、
「移動ド唱法」と呼ばれます。

「階名唱法」は
音楽教育に導入されて以来、
いまでも使われています。

「ヒフミ唱法」は明治11年に
音楽取調掛の伊沢修二が、西洋から唱歌を持ち帰った際、
「ドレミ」では馴染みがないであろうと、
「ヒーフーミーヨー」と数をかぞえるときの読みかたを、
日本人向けに提唱したものです。

明治28年ごろ、小山作之助の提案により、
東京音楽学校では「ヒフミ唱法」を廃止して、
「ドレミ唱法」を採りいれました。

東京音楽学校の生徒が卒業後、
地方の小・中学校に教員として赴任して
「ドレミ唱法」が広まりました。

しかし第二次大戦がはじまると、
敵国の用語「ドレミ」は使用禁止になり、
日本語読みの「イロハ唱法」に強制される時代もありました。

戦後、昭和21年8月には、
音楽を指導する場合には原則として「ドレミ階名唱法」
を使うことと文部省が通達しました。

音名唱法(固定ド唱法)

それぞれの楽曲の音名を「そのまま読む」
すなわち調によって「ド」を移動させずに、
譜面に示された音名のまま読む方法です。

調によって主音の「ド」を移動させず、
音名のドを固定させるので「固定ド」と呼ばれます。

日本では明治末期に、
専門教育の場に音名唱法が導入され、
「ドレミ」が音名唱として使われるようになりました。

しかし第二次大戦がはじまり、
日本語読みの「イロハ唱法」が強制されるようになると、
「イロハ音名唱法」も行われていました。

【移動ド唱法」と【固定ド唱法】の違いを
音階で見てみましょう。

移動ドと固定ド

伝統的な口頭伝承

日本の伝統的な歌唱については、
師匠の模範証をまねて唄う、
口頭伝承のかたちが残っています。

最近では譜面の形で記譜することが増えましたが、
あくまで楽譜は補助的につかい、
基本は師匠の唄を模範にして、
自分の型を確立していくそうです。

幼稚園唱歌集

明治35年(1902年)
東基吉(ひがし もときち)が、
妻の東くめと、作曲家・滝廉太郎と一緒に作った、
日本で最初の幼児向けの口語唱歌集です。

楽譜付きの唱歌が20 曲おさめられ、
四季に沿って春から冬へと並んでいます。

中には今でもなじみのある歌がいくつもあり、
100 年以上にわたって歌い継がれていることに
おどろきますね。

それまでも幼稚園児に向けた唱歌集は、
すでにが発行されていましたが、
歌詞が文語体(書き言葉)で教訓的でした。

つまり子どもたちには、
理解しにくい歌詞でした。

もっと子どもたちの日常に沿った歌を、
と東らは考え、
普段の生活や身近な題材を取り上げ、
擬態語などもふんだんに使って、
歌詞を口語体(話し言葉)で書き、
子どもたちの興味関心を集めました。

また、もうひとつの特徴として、
全ての曲に簡単な伴奏譜がつけられました。

発行年明治35年(1902年)
作者東基吉(もとお茶の水女子大学助教授)
東くめ(作詞家・基吉の妻)
滝廉太郎(作曲家)
特徴①幼児向けの、日本で初めての「口語体」の歌詞
②すべての曲に伴奏がついている
主な掲載曲・水遊び(みずを たくさん くんできて~)
・お正月(もういくつねると おしょうがつ~)
・鳩ぽっぽ(ぽっぽっぽ はとぽっぽ~)
「幼稚園唱歌集」

母とおさなごの歌

母とおさなごの歌とは、幼稚園の創始者フレーベルが、
1844年に出版した代表著作です。

ドイツ語では 「Mutter-und Kose-Lieder 」で
『母の歌と愛撫の歌』 と訳されるように、
母親が子どもに歌いかける歌と、
母親が子どもと遊びながら歌う歌、
50曲がおさめられています。

それぞれの歌には、
遊び方と教育的な解説がついています。

詩や絵・メロディー・遊びを通して、
母親や保育者が意識せずに、
子どもの身体をきたえたり、
心やメンタルを育めるようなねらいがあります。

フレーベルはこれらの歌や遊びを通して、
神と人と自然との内的なつながりや、
愛と感謝などを幼少期のうちに育み、
最終的には人間形成を目指したのです。

※現在「母とおさなごの歌」として、
出版されている楽譜は、
全日本私立幼稚園幼児研究会がまとめたもので、
日本で生まれた子ども向けの歌が収録されています。

マザーグース

マザーグースとは、
イギリスで古くから口伝えで継承されてきた
伝承童謡集です。

17世紀、大英帝国の植民地化政策で
世界中に広まったということは、
ずいぶん昔から歌い継がれていますね。

現在ではイギリス発祥のものだけでなく、
アメリカ生まれの童謡も加わり、
1000曲以上の曲があります。

子守唄をはじめ、なぞなぞ唄、遊戯唄、
早口唄、物語唄、呪文・まじない唄など、
分類が難しいほど種類が豊富です。

伝承童謡とされてはいるものの、
特定のメロディがついていない、
「読むための唄」「読んで聞かせる唄」
も多く含まれています。

日本で最初に訳されたのは、
1881年「きらきら星」でした。

その後、明治の終わりから盛んに日本語訳され、
「メリーさんの羊」「ロンドン橋」などは
今でも歌われていますね。

日本の子どものうたの特徴

日本の子どものうたについては、
唱歌、童謡、わらべうたの項で
詳しく説明しますが、
問6で問われるような大まかな特徴には、
以下のようなものがあります。

2拍子・4拍子が多かった

ワルツ、ダンスの文化の影響からか、
西洋では3拍子が多かったのに対し、
日本では3拍子の歌が少なかったのです。

ここ最近では、
「千と千尋の神隠し」「イルカはザンブラコ」など、
3拍子でも親しまれている歌が増えてきました。

日本語のアクセントを考慮したメロディ

日本語はアクセントが変わると、
意味まで異なるので、
アクセントに忠実にメロディが作られていました。

そのため詞が先に作られ、
作曲は後から、というのが多かったのです。

子どもは歌をうたうことで、
言葉を覚える、という観点から、
正しい日本語を伝える役目もあったのですね。

今では曲が先、詞はあとのパターンも増えて、
とても自由になってきています。

アメリカ発祥のラップを、
日本語でも楽しむ時代になり、
子どものうたの世界でも、
アクセントを重視する傾向は、
どんどん低くなってきています。

四季や自然の風景がテーマ

日本ならではの四季折々の歌や、
美しい自然を歌う曲が多いのも特徴です。

今でも保育園や幼稚園では、
「今月のうた」を決めて、
季節のうたを歌う園が多いです。

教育的、教訓的

特に明治時代に生まれた「唱歌」には、
子どもに「こうあれ」と教育する、
指導的な内容の歌詞が多かったです。

父母を大切にすること、
子どもの役目、生活指導など・・・

言葉で伝えるよりは、
歌にのせた方が柔らかかったのかも知れません。

しかし歌として楽しかったか、
という反省から「童謡運動」につながったのも
うなずける気がします。

現代の子どものうた

ひと口で「子どものうた」とまとめるのが
とても難しくなるほど、
ジャンル、種類が豊富になっています。

唱歌、童謡をはじめとして、
アニメソングやコマーシャルソング、
「おかあさんといっしょ」などの
TVで生まれたうた、
ゲームや映画で生まれたうた・・・。

中には子どもが歌いにくいものも多いですが、
子どもが楽しんで歌うのであれば、
園や家庭でどんどん歌いたいですね。

子どもが歌いにくい場合、
Keyを上げたり下げたり、
カンタンな伴奏にしたり、
という工夫をすることができると、
もっともっと楽しめます。

保育士試験に出る「移調」「伴奏」問題などは
やっかいな問題ですが、
実はとても意味のあることなわけです。

まとめ

保育士試験の問6で出る、
音楽の基礎知識編、第一回の今回は、
海外の音楽教育、日本の子どものうたの特徴、
歌の指導法、幼稚園唱歌集などを取り上げました。

リトミック、コダーイ、いろいろな唱法については、
主題される頻度が高くなっています。

要点をおさえて覚えておきましょう!

次回は、
唱歌、童謡、わらべうたについて取り上げます。