基礎知識の2回目では、
唱歌・童謡・わらべうたを取り上げます。
問6の○×問題では、
唱歌や童謡、わらべうたのなりたちや
時代背景について問われることが多いです。
それぞれ、どう違うのか
特徴や、誕生した時代などを
押さえておきましょう。
ここでは絶対におぼえておくべきポイントを、
まとめとして紹介します。
誕生が古い順、
わらべうた → 唱歌 → 童謡
に見ていきましょう。
わらべうたについて
■定義:
子どもたちが遊びながら伝承した、
遊び歌や数え歌、子守歌のこと。
伝承童謡とも呼ばれる。
■誕生時期:
江戸時代ころから。
古いものは室町時代からといわれる。
■特徴:
曲調は、ヨナ抜き音階といって、
「ドレミファソラシド」からファとシを抜いた、
日本の伝統的な作りが多い。
いつ、だれが作ったのか分からず、
時代の流れで消えたものや、
いまなお歌われ続けているものもあります。
なんとなく「わびしい感じ」の曲が
多い印象があるのは、
まだ西洋音楽が輸入される前で、
「ド」できっぱり終わる概念が
なかったからと言われています。
2音だけ、3音だけ、
4音だけで出来ている
シンプルな曲が多いのも、
口伝えで広まったからこそですね。
今でも保育現場で、
低月齢児を中心に、
わらべうた遊びは広く行われています。
ピアノ伴奏ではなく、
先生やお母さんの声だけで、
手遊びを伴うのが特徴といえます。
唱歌について
■定義:
明治政府が学制の発令に伴って、
学校教育用に作成した曲。
■誕生:
明治維新以降の1872年。
■特徴:
①当初は学校の授業用に作られたため、
道徳教育、情操教育を目的として
文語体で書かれていた。
②日本の風景・風俗・訓話などを
扱ったものが多い一方で、
日本民族、天皇の賛美や
軍歌などが数多くあった。
→戦後に歌詞が書き換えられました。
③アメリカに留学した、
音楽取調掛の伊沢修二が、
日本に持ち帰った賛美歌の歌詞を、
日本語訳をした曲も多い。
→蛍の光、ちょうちょ、など。
「唱歌」の名前の由来は、
明治で始まった学校制度において、
音楽の教科名が「唱歌」だったため、
授業の中で歌われる曲のことも
「唱歌」と呼ばれるようになったそうです。
唱歌は戦意高揚を目的として、
軍事的にも利用された時代がありました。
しかし、戦後には
戦争に関する内容の歌詞を書き換えたり、
軍歌そのものを教科書から削除し、
日本人の心情を表現するものや、
多くの人々に愛唱されるものに変化していきました。
童謡について
■定義:
大正7年に発刊した
児童雑誌「赤い鳥」から生まれた、
子どもが歌うことを想定して
大人が創作したもの。
■誕生:
大正7年「赤い鳥」の発刊年。
童謡第一号は、同年11月に、
初めて楽譜つきで発表された
「かなりや」。
■特徴:
①明治に生まれた唱歌が、
音楽教育として「子どもが理解しにくい、
難解な歌詞」が多いのは教育的にどうか、
と疑問を感じた鈴木三重吉が、
子どもの視点に立って「赤い鳥」を発刊。
②子どもたちに、楽しい童話や童謡を!
という鈴木の思いに賛同して、
歌詞は北原白秋、西条八十、野口雨情など、
作曲は成田為三、山田耕筰、中山晋平など、
当時の一流の作詞作曲家が曲を作り、
今でも数多くの歌が歌い継がれている。
児童雑誌「赤い鳥」が近代児童文学や児童音楽に
大きな貢献をしたことから、
鈴木三重吉は「児童文化運動の父」
と呼ばれています。
また「赤い鳥」の発刊日である、
7月1日は、1984年に
「童謡の日」と制定されました。
大正や昭和に生まれた曲ばかりでなく、
平成や令和になってからも、
次々と新しい童謡が創られ、
現代の子どもたちにも愛される歌
が生まれ続けています。
まとめ 年代と特徴をおぼえておこう
ひとことで「子どものうた」と、
まとめて言うこともできますが、
それぞれ独自の特徴があります。
生まれた年代、特徴などが
過去問でも多く出題されていますので、
しっかりおぼえておきましょう。
わらべうた・唱歌・童謡に関する過去問
出題年 | 問題(〇か×か) | 答え | |
わらべうた | 令3後 | 日本のわらべうたは、すべて2音でできている。 | ✕ |
わらべうた | 平28後 | 「わらべうた」は、 すべて作詞者および作曲者が明らかである。 | ✕ |
わらべうた | 平27地 | 「わらべうた」は、地方によって歌詞、旋律、 遊び方などが異なって伝承されている場合がある。 | 〇 |
わらべうた | 平26 | わらべうたの「かごめ」は、 作詞者および作曲者が不明である。 | 〇 |
わらべうた | 平23 | すべてのわらべうたは、 イ短調で作曲されている。 | ✕ |
わらべうた | 平22 | 日本のわらべうたや民謡の多くは 7音音階でできている。 | ✕ |
わらべうた | 平20 | 「わらべうた」と「童謡(ドウヨウ)」は同じものである。 | ✕ |
わらべうた | 平20 | 2音でできている「わらべうた」は 上の音で終わることが多い。 | 〇 |
わらべうた | 平19 | 「わらべうた」は、日本の伝承童謡ではない。 | ✕ |
わらべうた | 平18 | わらべうたには、日本伝統音楽の要素が強く残っている。 | 〇 |
唱 歌 | 令元 | 唱歌は、かつて音楽教科名でもあった。 | 〇 |
唱 歌 | 平26再 | 唱歌(しょうか)は、明治時代に生まれた教科名である。 | 〇 |
唱 歌 | 平24 | 唱歌(しょうか)は、音楽教科名であるとともに、 そこで用いられる歌曲をも示していた。 | 〇 |
唱 歌 | 平18 | 唱歌(しょうか)は、教育用に作られた歌である。 | 〇 |
唱 歌 | 平17 | 明治期に作成された「保育唱歌」は、 西洋音楽を基本にした旋律でつくられている。 | ✕ |
童 謡 | 令3前 | 伊澤修二は、赤い鳥童謡運動を牽引した。 | 〇 |
童 謡 | 平29前 | 北原白秋、西条八十らは、 創作した童謡を「赤い鳥」に発表した。 | 〇 |
童 謡 | 平27 | 「赤い鳥」は、大正時代に芸術性豊かな 童話・童謡の創造を目指して創刊された。 | 〇 |
童 謡 | 平26 | 西條八十作詞による「かなりや」は、 「赤い鳥」童謡運動の中で誕生した。 | 〇 |
童 謡 | 平25 | 成田為三は、 大正期の「赤い鳥」童謡運動に参加した作曲家である。 | 〇 |
童 謡 | 平23 | 「赤い鳥小鳥」は、明治時代に発表された唱歌である。 | ✕ |
童 謡 | 平19 | 赤い鳥童謡運動は、大正時代に唱歌を批判して始まった。 | 〇 |
童 謡 | 平16 | 「赤い鳥」童謡運動は、 鈴木三重吉らによって明治時代に始められた。 | ✕ |
過去問をみると、
やはり出題回数は多いですね。
出題傾向をみて、
必要事項はぜひ押さえておきましょう!!