今回のテーマは「コード」です。
コードは2回にわたって解説します。
1回目は「トライアド(3和音)」です。
コード問題は、
出題されなかったことがありません。
つまり、
今の試験制度がはじまってから
毎回出ています。
実際に保育現場に出てから、
子どもの歌のピアノ伴奏を
コードで弾くことも多いです。
それだけに、必要最低限は
覚えておく必要がありますね。
今回も、過去問の分析から、
「出題されるコード」に限定して
解説していきます。
今まで学んできた
「英語の音名」とか「音程」
「鍵盤の数」「半音」などが
ふんだんに出てきますよ。
分からなくなったら、
くり返し復習しながら進んでみて下さい。
コードとは
2つ以上の音が同時に演奏されるとき、
その音のかたまりを
「コード(和音)」と呼びます。
2コが同時に鳴ったり、
10コ以上の音がジャ~ンと
派手に鳴ったり・・・
このコードを区別して、
種類をあらわすのが
「コードネーム」です。
コードには
果てしなく多くの種類がありますが、
保育士試験に出るコードに限定して
学んでいきます。
保育士試験に出るコード
過去問をすべて分析した結果、
ずばり、6種類です。
たくさんのコードがある中で、
厳選した6種類だけを、
しっかり覚えましょう。
6種類とは、
3和音が4コ、4和音が2コです。
今回は「3和音」を取り上げます。
コードの基本 「トライアド(3和音)」
基本的なトライアド(3和音)のしくみ
コードの基本となるトライアド(3和音)は、
3つの音が重なってできています。
そして、それぞれの音は
3度ずつ重ねて作られています。
・・・大事!
→「3度」など「音程」については
徹底講座⑦を参照
「度数」は♯や♭を外して考えて、
「ドレミ」とか「ミファソ」と
数えるのでしたね。
なので、
♯とか♭がついていても、
なにがなんでも「3度ずつ」積み上げます。
上のコードも、
真ん中の音に♭がついていたり、
最初の音に♯がついていますが、
お構いナシです。
とにかく基本のトライアドは、
「3度ずつ積み上げる」と
覚えましょう。
3つの音それぞれの名前
トライアド(3和音)は
3つの音で作られていて、
それぞれに名前があります。
一番下の音は
「根っこ」の音なので「根音」(ルート)
真ん中の音は
根音から「3度上の音」なので「第3音」
※2番目だからといって・・・
第2音とは呼ばない。
一番上の音は、根音から数えて
「5度上の音」なので「第5音」です。
※3番目の音だからといって・・・
「第3音」 とは呼ばない。
この3つの音は、この通りに
いつもお行儀よく並んでいるわけでは
ありません。
しばしばシャッフルして出てきて、
試験問題にもシャッフル状態で登場します。
その時に役立つポイントが・・・
①基本形は、
下の音から「3度ずつ積み上がっている」
②一番下の音が・・・「根音」
この2つです。
いくらシャッフルしても
並べ直せば基本形が分かります。
また「根音」は
コードネームにつながるので、
「根音」が分かればコワイものなしです。
この2つのポイントを、
まず、しっかり覚えましょう!
4つの覚えるべきトライアド
コードネームの意味
コードネームは、
アメリカで誕生した和音記号なので、
英語の音名が使われます。
→英語の音名については
徹底講座③を参照
コードネームは、
①「根音」を英語音名であらわす
② 第3音・第5音と
「根音」との音程を記号であらわす
という仕組みになっています。
①大文字のアルファベットは
「根音」を表します。
②となりの小文字は、
第3音と第5音が
「根音」とどういう音程になっているか
を表します。
基本の4つのコードネーム
覚えるべきトライアドは4つです。
①メジャーコード
②マイナーコード
③オーギュメントコード
④ディミニッシュコード
4つとも「根音ー第3音ー第5音」の音程が
異なります。
どれも「長3度」と「短3度」の組み合わせで
出来ています。
この音程の組み合わせと、
コードネームとをセットで
覚えていきましょう。
メジャーコード
明るく、
とても安定感のあるハーモニーです。
長調の曲の始まりと終わりに
使われることが多いです。
メジャーコードの成り立ち:
長3度 + 短3度
コードネーム:
根音(英語の音名の大文字)のみ
「長3度」とか「短3度」が苦手な場合は、
メジャーコード=鍵盤の数【5+4】
で覚えてOKです。
※実際に、
養成校では 【5+4】 で教えていました~
コードネームが
「アルファベットのみ」だったら、
すべて「メジャーコード」です。
例:C、D、F♯、B♭・・・
アルファベットのみは「メジャーコード」
そして中身は 「長3度+短3度」、
または
鍵盤の数 「5+4」になっています。
例題その1 メジャーコード「D」を組み立てよう
では「根音」が「ド」以外だったら、
どうなるでしょう?
まずは根音が 「レ」の
メジャーコードを組み立ててみましょう。
根音が「レ」なので、
コードネームは「D」ですね。
手順①=まずは根音を「レ」にして・・・
手順②=第3音と第5音を、
3度ずつ上に積み上げます。
次に、
手順③=メジャーコードの
「長3度+短3度」に整える。
鍵盤の数「5+4」で整えてもOK!!
この時「根音」→「第3音」→「第5音」
この順番で整えて下さいね!
必ず「根音」→「第3音」を整えてから、
「第3音」→「第5音」の調整をして下さいね。
それと、
手順の①で書いた「レ・ファ・ラ」は、
ゼッタイ書き換えないこと!
つまり「ファ」に♯をつける時に、
「ソ」の♭としないように!
第3音を「ソ」に書き換えてしまうと、
「3度ずつ」の積み重ねではなくなるので
注意してくださいね。
例題その2 メジャーコード「E♭」を組み立てよう
根音が「ミ♭」なので、
コードネームは「E♭」ですね。
先ほどの「D」と
同じ手順で考えてみましょう。
手順①=まずは根音を「ミ♭」にして・・・
手順②=第3音と第5音を、
3度ずつ上に積み上げます。
次に、
手順③=メジャーコードの
「長3度+短3度」に整える。
鍵盤の数「5+4」で整えてもOK!!
この時「根音」→「第3音」→「第5音」
この順番で整えて下さいね!
「ミ♭」と「ソ」の音程が
「長3度(鍵盤数5)」なので、
「ソ」はこのままでOKですね。
次に「ソ」と「シ」をチェックすると・・・
「長3度(鍵盤数4)」になっています。
第3音と第5音は「短3度」に整えたいので、
「シ」に♭をつけて距離をちぢめます。
これで完成!!
マイナーコード
「マイナー」の言葉のとおり、
哀しい、暗い感じがする
ハーモニーです。
マイナーコードの成り立ち:
短3度 + 長3度
コードネーム:
根音+ 小文字「m」
気をつけたいのが・・・
メジャーコードは →
「長3度」+「短3度」
マイナーコードは →
「短3度」+「長3度」
常に「根音」→「第3音」や「第5音」と
積み重ねるので、
「長3度」と「短3度」の順番が
逆にならないようにしましょう。
「短3度」とか「長3度」が苦手な場合は、
マイナーコード=鍵盤の数【4+5】で
覚えてOKです。
例:Cm Dm F#m E♭m・・・ アルファベット大文字+小文字m
例題その1 マイナーコード「Dm」を書いてみよう
「Dm」ということは、
根音は 「レ」ですね。
手順①=まずは根音を「レ」にして・・・
手順②=第3音と第5音を、
3度ずつ上に積み上げます。
マイナーであれ、メジャーであれ、
「トライアド」(3和音)は
「3度ずつ」積み上げたコードです。
なので・・・
とりあえず「根音」の上に、
あと2つの音を「3度ずつ」積み上げましょう。
次に、
手順③=マイナーコードの
「短3度+長3度」に整える。
鍵盤の数「4+5」で整えてもOK!!
この時「根音」→「第3音」→「第5音」
この順番で整えて下さいね!
必ず「根音」→「第3音」を整えてから、
「第3音」→「第5音」の調整をするのでしたね。
この場合、手順①②でとりあえず書いた
「レ-ファ-ラ」を見てみると・・・
すでに「短3度ー長3度」となっていました。
この場合は、このままでOK!
例題その2 マイナーコード「Fm」を書いてみよう
「Fm」ということは、
根音は 「ファ」ですね。
手順①=まずは根音を「ファ」にして・・・
手順②=第3音と第5音を、
3度ずつ上に積み上げます。
いろいろ考えずに、
「根音」から3度ずつ、2つの音を並べます。
次に、
手順③=マイナーコードの
「短3度+長3度」に整える。
鍵盤の数「4+5」で整えてもOKデス!!
この時「根音」→「第3音」→「第5音」
この順番で整えて下さいね!
「ファ」と「ラ」の音程が
「長3度(鍵盤数5)」なので、
「短3度(鍵盤数4)」に
調整しなければなりません
「ファ」は触らずこのまま。
「ラ」に♭をつけて
「ファ」との距離をちぢめます。
これで「「短3度(鍵盤数4)」に
なりましたね!
次に「ラ」から変身した「ラ♭」と
「ド」の距離をチェックすると・・・
あら、ラッキー!
「ラ♭」に変身したおかげで、
「ド」とは 「長3度(鍵盤数5)」 に
なっています。
なので、何もせず、
このままでOK。
はい、完成!!
オーギュメント(オーグメント)コード
発音のしかたによって、
「オーギュメント」「オーグメント」
の呼びかたがあります。
わたしは学校で「オーギュメント」
と呼んでいるので、
こちらで解説しますね。
印象としては、不安定で、
「これから何か起きるかも・・・」
というような場面展開的な感じがします。
※わたしの見解ですが・・・
子どもたちに絵本を読んでいて、
ページをめくりながら、
「あれ?なんかヘンな音がするよ。
何がかくれているのかな・・・」
という場面に合いそうな
ハーモニーです。
オーギュメントコードの成り立ち:
「長3度」+「長3度」
コードネーム:
「根音」+小文字「aug」
同じオーギュメントコードでも
根音の右上に、
(♯5)とか(+5)という表記もあります。
しかし保育士試験の問題では、
「根音」+小文字「aug」
の表記なので、これで覚えましょう。
「長3度」が苦手な場合は、
オーギュメントコード=鍵盤の数【5+5】
で覚えてOKです。
例:Caug Daug E♭aug・・・ アルファベット大文字+小文字aug
例題 オーギュメントコード「Faug」を書こう
「Faug」ということは、
根音は 「ファ」ですね。
手順①=まずは根音を「ファ」にして・・・
手順②=第3音と第5音を、
3度ずつ上に積み上げます。
次に、
手順③=オーギュメントコードの
「長3度+長3度」に整える。
鍵盤の数「5+5」で整えてもOK!!
この時「根音」→「第3音」→「第5音」
この順番で整えて下さいね!
必ず「根音」→「第3音」を整えてから、
「第3音」→「第5音」の調整をして下さいね。
「ファーラ」は「長3度(鍵盤数5」
なので、このままでOK!
次の「ラ」から「ド」までは
このままでは「短3度(鍵盤数4)」です。
♯をつけて鍵盤数を1コ足して、
調整すれば、完成
手順の①で書いた「ファ・ラ・ド」は、
ゼッタイ書き換えないで下さいね。
つまり「ド」に♯をつける時に、
「レ」の♭としないように・・・
第5音を「レ」に書き換えてしまうと、
「3度ずつ」の積み重ねではなくなるので
注意してくださいね。
ディミニッシュコード
不安定さに加えて、
不気味な印象さえあるハーモニーです。
ディミニッシュコードの成り立ち:
「短3度」+「短3度」
コードネーム:
「根音」+ 小文字dim
同じディミニッシュコードでも
根音の右上に、
(♭5)とか(-5)という表記もあります。
しかし保育士試験では、
「根音」+小文字「dim」
の表記なので、これで覚えましょう。
「短3度」の代わりに、
オーギュメントコード=鍵盤の数【4+4】
で覚えてもOKです。
例:Cdim Ddim F#dim・・・ アルファベット大文字+小文字dim
例題その1 ディミニッシュコード「Gdim」を書こう
「Gdim」ということは、
根音は 「ソ」ですね。
手順①=まずは根音を「ソ」にして・・・
手順②=第3音と第5音を、
3度ずつ上に積み上げます。
次に、
手順③=ディミニッシュコードの
「短3度+短3度」に整える。
鍵盤の数「4+4」で整えてもOK!!
この時「根音」→「第3音」→「第5音」
この順番で整えて下さいね!
「根音」→「第3音」を数えると、
鍵盤数が5コ=つまり「長3度」
「短3度」にするために、
♭をつけて鍵盤数を1コ減らします。
第3音が「シ♭」に変わりました。
ここから「第5音」との音程を整えます。
「シ♭」から「レ」までは、
鍵盤数が5コ=つまり「長3度」
こちらも 「短3度」にするために、
♭をつけて鍵盤数を1コ減らします。
これで、完成!
必ず「根音」は変えずに、
順番に音程を整えましょう!
例題その2 ディミニッシュコード「Bdim」を書こう
「Bdim」ということは、
根音は 「シ」ですね。
手順①=まずは根音を「シ」にして・・・
手順②=第3音と第5音を、
3度ずつ上に積み上げます。
次に、
手順③=ディミニッシュコードの
「短3度+短3度」に整える。
鍵盤の数「4+4」で整えてもOK!!
この時「根音」→「第3音」→「第5音」
この順番で整えて下さいね!
それぞれの音程をチェックすると・・・
「短3度」+「短3度」
鍵盤の数=「4+4」になっています。
この場合は、何も調整はいりません。
このままでOKです!!
まとめ 覚えるべきトライアド(3和音)4選
保育士試験に出る、
トライアド(3和音)を4つ解説しました。
【コードの基礎知識】
①コードネームは、
一番下の音「根音」の英語の音名。
②「根音」は大文字で、
右側の小文字は種類をあらわす。
【覚えるべきトライアド(3和音)】
①メジャーコード(例:C)
②マイナーコード (例:Cm)
③オーギュメントコード (例:Caug)
④ディミニッシュコード (例:Cdim)
【特徴】
①「根音」「第3音」「第5音」は、
3度ずつ積み上げて作られている。
②それぞれ「長3度」と「短3度」の
異なる組み合わせでできている。
コードの種類 | 根音-第3音-第5音の 音程のくみあわせ | 根音-第3音-第5音の 鍵盤数のくみあわせ | |
1 | メジャーコード | 長3度+短3度 | 5コ+4コ |
2 | マイナーコード | 短3度+長3度 | 4コ+5コ |
3 | オーギュメントコード | 長3度+長3度 | 5コ+5コ |
4 | ディミニッシュコード | 短3度+短3度 | 4コ+4コ |
この表を、
まるっと覚えてしまいましょう。
楽典の本などでは、
「根音」と「第3音」そして
「根音」と「第5音」の関係に
まとめているものもあります。
たとえば、メジャーコードなら
「長3度」+「完全5度」ですね。
それでも良いのですが、
「減5度」「増5度」など、
本来は保育試験では扱わない音程まで
覚えないといけなくなります。
この講座では「長3度」と「短3度」
または鍵盤数「5コ」と「4コ」だけで
覚える方法をとりました。
この4つのトライアドは、
必須アイテムです。
この先の「問題の解きかた講座」で
活かせるように覚えてみてくださいね!
次回は「4和音」について見ていきます。
お楽しみに・・・